海賊版サイトによる著作権侵害、文化庁が著作権者の権利行使を支援

文化庁が著作権侵害の損害賠償額算定方法を見直しへ、相談窓口も開設

メディアビジネス編集部

文化庁が830日、著作権侵害における損害賠償額の算定方法を見直すよう、文化審議会の法制度小委員会に提議した。また同日、インターネット上の海賊版による著作権侵害について無料の相談窓口を開設したことも発表した。

ライセンス料相当額も権利者が受けた損害額として認めることで、賠償額を増額へ

近年のマンガを中心とした海賊版サイトによる被害の深刻化を受け、著作権権利者の被害回復の観点から実行的な対応策を取れるよう、損害賠償額の算定方法に関する規定を見直す。これまでは、著作権侵害者が得た利益のうち、著作権者等の販売能力を超えたと判断された部分についての賠償が否定されていたが、著作権侵害者にライセンスを与えたとみなして、ライセンス料相当額の損害賠償を請求できるように見直される。

文化庁によると、コロナ禍における巣ごもり需要の高まりもあり、20217月の海賊版サイト訪問数は約6億アクセス。特にマンガに関する海賊版被害は大きく、2021年に1年間でタダ読みされた金額は1兆円を超える。また、ファスト映画やネタバレサイトなどによる著作権侵害での摘発例もみられるという。

海賊版による著作権侵害、弁護士による相談窓口を開設

同日に設置された、海賊版による著作権侵害の対応に困っている権利者などに向けた相談窓口は、6月に開設された「インターネット上の海賊版による著作権侵害対策情報ポータルサイト」に新機能を搭載したもの。相談に対し電子メールで回答するが、案件によってはオンラインなどでの弁護士との無料個別面談も想定されている。ポータルサイトについては同メディアでも詳しく紹介している

相談窓口事業を受託し事務局を構成する「弁護士知財ネット」は、日本弁護士連合会の支援の下に誕生した全国規模のネットワークで1,000人以上の弁護士が登録。その中でも、著作権、コンテンツ、海賊版、アジア、北米、EUの案件に従事している弁護士が事務局を構成する。

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発表の詳細はこちら。「インターネット上の海賊版による著作権侵害対策情報ポータルサイト」はこちら

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出版社や新聞社などのメディア事業者、製造業や小売業などのオウンドメディアを運営する企業向けに、総合コンサルティングサービス「MediaDX」の提供、システム構築、メディア運用など、事業立案からグロース・多角化戦略まで幅広く支援している。
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