IABヨーロッパ(ベルギー)が6月28日、欧州の広告費に関するレポート「2021 AdEx Benchmark Report」を発表。2021年の欧州におけるデジタル広告の年間成長率が30.5%だったことを明らかにした。
2008年以降で最も高い成長率
IABヨーロッパでは2021年の成長率を28.6%と予測していたが、本レポートによると30.5%と予想を上回り、2008年以来最も高い成長率を記録した。急成長を遂げたトルコの伸長率は99.7%、ウクライナ(同43.5%)、英(40.5%)をはじめ、同調査の対象となった欧州28市場すべてが2ケタ成長だった。
2021年の欧州デジタル広告市場の規模は総額920億ユーロ。市場規模の内訳を見ると英国が最も大きく35.2%、ドイツ(13.2%)、フランス(9.1%)の上位3か国で過半数を占める。
動画がディスプレイ広告費の約半分を占める、英では過半数
ソーシャル広告費は43.4%の伸びを記録。特に動画は51.2%の伸びを示し成長の原動力となったことがわかる。
2021年において、動画はディスプレイ広告費全体の40.5%を占める規模にまで拡大した。市場別にみると、ウクライナ(58.0%)、イタリア(51.5%)、英(50.9%)の3市場では、動画がディスプレイ広告費全体の半分を超えている。
成長率が最も高かったのはデジタルオーディオ分野
2021年の広告費成長インデックスを比較すると、最も数値が高かったのは「デジタルオーディオ」(1.7)で、「ソーシャル動画(1.6)」よりも高い。成長を続けるデジタルオーディオ市場だが、2021年は約7億ユーロまで拡大した。
IABヨーロッパのチーフエコノミストであるダニエル・ナップ(Daniel Knapp)博士は、2021年の注目ポイントとして「中小企業が実現できるフォーマットやアプローチ」、例えばeコマース関連の広告、動画を使ったストーリーテリング、オーディオやゲームといった新しい消費者行動へのアクセスを大規模に提供するフォーマットを挙げている。
IABヨーロッパは、デジタル広告とマーケティングのエコシステムに関する欧州の主要業界団体。調査対象となった国は、英、独、仏、伊、露、オーストリア、ベラルーシ、ベルギー、ブルガリア、チェコ、クロアチア、デンマーク、フィンランド、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ルーマニア、セルビア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、ウクライナの28か国。
同発表の詳細はこちら(英語)。「2021 AdEx Benchmark Report」(英語)も無料でダウンロードできる。