INMA(International News Media Association)が3月13日、定期購読者の獲得に成功した世界のメディア企業3社のサブスクリプション・ジャーニーの手法についてまとめた記事を公開した。3月9日にスウェーデンのストックホルムで開催された「INMA Media Subscription Summit」にて発表されたもの。
スイスの老舗新聞社はニュースレターを毎日2回配信
スイスのNeue Zuercher Zeitung(NZZ)は、1780年創業の保守系新聞としてすでに信用を得ており、2020年にハードペイウォールを設定後も、すぐに多くの定期購読者の獲得に成功した。
老舗新聞社が次のステップとして取り組んだのが、60日間のオンボーディング・ジャーニー作成だ。ニュースレター「NZZ Briefing」を毎日、朝晩の2回配信する。その日のトップニュースを紹介することでNZZの世界をナビゲートし、この無料のニュースレター受け取った読者が選びたくなるような複数のオファーを提供する。ニュースレターは「2021年に新規に獲得した定期購読者の15%にアシスト効果をもたらしていた」という。
読む数が増えるほど支払いたくなる?The Guardianの寄付モデル
英The Guardianは、世界で7番目の規模を誇るニュースメディアだが、読者が読んだ記事に対して支援する「寄付モデル」を採用している。Wikipediaから一部のアイデアを得たこの寄付モデルで、どのようなメッセージが読者の役に立つのか、無料で手に入るものに対してなぜお金を払うのかを分析。読者にはパーソナライズされた、興味のある分野についてのメッセージを届ける。
もう一つの施策は、読者の消費行動パターンをフィードバックすることだ。同紙では購読した記事の数を読者に伝え、トップリーダーにはお祝いの言葉をかけているが、「自分が読んでいることに気づけば気づくほど、読者は喜んでお金を払うようになる」と効果に手応えを感じている。とはいえ、このようにマッピングされることに抵抗がある人がいることも十分に理解しており「読者に定期的な支払いをしてもらえるように丁寧に働きかけている」と述べている。
読んだ記事に応じてパーソナライズされた読者へのメッセージ
また、日本経済新聞社が、日経電信版「Think!」について発表。各界の有識者であるエキスパートが注目ニュースにひとこと解説を投稿するこのサービスによって、狙い通りに若年層ライトユーザーのエンゲージメントとロイヤリティを高めることに成功したと述べている。
同記事の詳細はこちらで確認できる(英語)。