デジタルメディア研究所(東京都目黒区)が10月31日、第1回「AIのべりすと文学賞」の最優秀作品を発表した。「AIのべりすと」は、AIによる文章生成サービスで、2022年10月時点の登録ユーザーは30万人超。
10歳代から70歳代まで応募、受賞者は作家の経歴も
2021年秋にリリースされた「AIのべりすと」は、アプリに5~6行の文章を入力すれば、その続きの文章をAIが自動作成する。同賞は「AIのべりすと alpha2.0」を利用した日本初の文学賞で、10歳代から70歳代まで幅広い世代が応募。作家の田口ランディ氏やアニメプロデューサーの竹内宏彰氏、シンエイ動画取締役で著作権コンサルタントでもある入江武彦氏などが審査し、389作品の中から各賞を決定した。小説のほかに短歌も選出され、これらの作品は「AIのべりすと文学賞 作品集」として書籍化が予定されている。
最優秀賞を受賞した高島雄哉氏は作家としての経歴を持つ。「基本的な文章力を土台にAI技術による文書生成システムを見事に使いこなしており、これからの時代の新しい文学の可能性の扉を開けるものとなった」との評価を受け、賞金50万円などが贈られた。
近々、AIを活用した大作家が誕生する?
「AIのべりすと」開発者のSta氏は受賞作決定に際し「 『AIに仕事を取られるかも』とか『AIに負けるかも』という恐怖ではなく、『AIを活用して大作家になった』とか『AIのおかげで創作が苦でなくなった』という実際の成功体験がこれから次々に出てくるはずです」とコメントしている。
「AIのべりすと」のAIは、文庫本約178万冊分のコーパスで訓練。フリーアカウント時で最大3000~4000字まで認識できる。与える文章が短いほど登場人物や固有名詞が新たに出現する可能性が高くなるため、安定した流れを作るには最低でも40~50行程度のインプットが必要だという。
同文学賞の受賞作などの詳細はこちらで確認できる。