米オーディオ出版社協会(APA)は6月1日、2020年度の音声コンテンツの売上が、前年比12%増の13億ドルに達したと発表した。これは9年連続の2桁成長となる。
APAは1986年設立。同調査は、音声コンテンツを聴いたことのある18歳以上のアメリカ人を対象に、2021年1月から2月にかけて957件のオンライン・インタビューを実施した。
今回の調査では、約3人に2人(67%)が、音声コンテンツを楽しむ理由のひとつとして「スクリーンタイムの短縮」を挙げていることが明らかになった。また、約7割が音声コンテンツはリラックスに適していると考えている。
コロナ禍の自宅待機命令が音声コンテンツ利用場面に影響
2020年はパンデミックによる自宅待機命令が大きく影響し、音声コンテンツの聴取場所が変化。「自宅で聴くことが多い」と答えた人の割合は55%と過半数を占め、2019年の43%から急増した。一方、従来多数派だった「車の中で聴くことが多い」人の割合は30%に減少した(前年43%)。
また、APAは「親たちはパンデミック中の子どものはけ口を音声コンテンツに求めた」と言及。17歳以下の子どもを持つ親のうち、「子どもが音声コンテンツを聴いていた」と答えた人の割合は49%と2019年(35%)より増加した。
2020年の新規タイトル数は71,000件と2019年より39%増加。堅調な人気を継続しているジャンルはミステリやスリラー、サスペンスだが、APAによるとロマンスや自己啓発、ビジネス分野への関心が急激に高まったという。
日本でも急増する音声コンテンツ利用者
音声コンテンツは、日本でも注目度が高まっている。音声コンテンツ配信サービス「audiobook.jp」は6月、累計会員数が200万人を突破したと発表、2018年に比べると6倍以上となったことを明らかにした。
運営するオトバンク(東京都文京区)が行った調査では、「音声コンテンツを利用してから本や電子書籍で読書する時間が増えた」と答えた人の割合は6割超。同社は「聴くだけで楽しめる音声コンテンツをきっかけに、興味を持つ作品の範囲が広がったり、本を読むハードルが下がった経験を持つ方が多数いました」と述べている。
APAの発表の詳細は、同協会のウェブサイト(英語)で確認できる。