電通Gが世界の広告費成長率を予測

2021年、世界の広告市場の50%がデジタル広告に 電通の市場成長予測

メディアビジネス編集部

電通グループ(東京都港区)は1月28日、「世界の広告費成長率予測」の主な結果を発表した。

成長著しいデジタル、テレビはシェア3割を維持

2021年に「デジタル」広告は、世界の総広告費の媒体別シェアで初の50%に達する見通し。ソーシャルメディア広告、検索連動型広告、動画広告が大きく成長すると予測している。

デジタルに次いで媒体別のシェアが大きいのは「テレビ」(1690億ドル)で、世界の総広告費において約3割の水準を維持すると見ている。他の従来メディアについては、「ラジオ」のシェア比率はほぼ変わらず、「新聞」や「雑誌」など紙媒体の市場規模は縮小する見通しを立てている。

release-20210128-3[1]媒体別のシェア予測(全世界)

2021年の成長率は概ねプラス予測、苦戦が続く紙媒体

媒体別の成長率でみるとデジタルが広告市場を牽引しているのがわかる。2020年において「映画」(58.3%減)を筆頭に他の媒体が大きく落ち込む中、デジタルは唯一プラス成長(3.2%増)を記録。2021年も2ケタの大幅な成長(10.1%増)を見込まれている。

「テレビ」広告は2020年に1割以上(13.6%減)落ち込んだが、2021年はわずかながらもプラス(1.7%増)に転じる見込み。同発表では東京オリンピック・パラリンピック競技大会やUEFA欧州選手権など「2020年に予定されていた世界的な主要スポーツイベントが2021年に実施されること」を要因として挙げている。

一方、紙媒体広告の2021年の成長率はマイナス予想と他がプラスに転じる中で際立っており、「雑誌」は14.3%減少と従来の予想(11.5%減)より下方修正された。

release-20210128-2[1]媒体別成長率予測(全世界)

世界の広告市場全体が回復軌道へ、日本の成長率も上方修正

今後について、デジタル広告の大きな成長が原動力となり、広告市場全体が回復軌道へ転換すると同予測でも期待が寄せられている。

世界の広告市場は、2020年はCOVID-19の影響で8.8%減少する見通し。しかし、2021年はその反動で世界各地がプラス成長に転じる見込みで、世界全体での成長率は5.8%増加、世界3位の広告市場である日本も5.3%増加へと上方修正した。さらに、2022年には6.9%の成長により総広告費は約6190億ドルに達し、広告市場全体がコロナ禍前の水準に戻ると見ている。

release-20210128-1[1]国・地域別の成長率予測

世界59カ国・地域から収集したデータに基づき取りまとめられた同予測は、毎年2回改定(2020年は1回)行われており、今回の発表は2020年と2021年予測の改定(前回は2020年1月発表)および2022年の新規予測となる。

同調査の詳細については、同社ホームページで確認できる。

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出版社や新聞社などのメディア事業者、製造業や小売業などのオウンドメディアを運営する企業向けに、総合コンサルティングサービス「MediaDX」の提供、システム構築、メディア運用など、事業立案からグロース・多角化戦略まで幅広く支援している。
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