電通グループ(東京都港区)が1月27日、「世界の広告費成長率予測」を発表。2022年の広告費成長率は9.2%、総広告費が7450億米ドルに達するとの予測を明らかにした。
2021年の広告費成長率は17.0%、デジタル広告が牽引
コロナ禍の影響で2020年の世界の広告費成長率は7.1%減とマイナスに転じていたが、2021年は同17.0%と大幅に回復、総広告費はコロナ前の2019年の水準を上回る6825億米ドルに達した。29.1%と大幅な成長率を記録したデジタル広告が世界の広告市場ををリード、テレビ広告は同7.9%だった。
2022年の広告費成長率について同社は、実質GDP成長率(予測)を上回る9.2%と予測。デジタル広告の浸透で生活者の広告へ接点が拡大したことにより、広告市場全体の回復・成長のスピードが加速したことが要因だと考察している。今後の広告費成長率も上昇する見通しで、2023年は4.6%、2024年は5.8%と予測する。
※実質GDP成長率(予測):2022年のG20の実質GDP成長率(予測)
出所「OECD Economic Outlook, Volume 2021 Issue 2: Preliminary version, Table 1.1 - December 2021」
世界の総広告費の推移
2024年には広告市場の約6割がデジタルに
媒体別に成長率をみると、2022年もデジタル広告が引き続き好調を維持。動画広告、コネクテッドTV、プログラマティック、eコマースなどにより14.8%を見込んでいる。デジタル広告が広告費全体に占める割合は2020年に初めて過半数に達しており、2022年の構成比は55.5%(4080億米ドル)と初めてテレビ(26.9%)の2倍以上になると予想、2024年にはシェアが約60%となる見通しを立てている。その他のマス媒体では、テレビは3.8%と堅調な成長を見込む一方で、新聞と雑誌は減少傾向が続く見通し。
2022年の世界の広告市場動向について、北京冬季オリンピック・パラリンピックの開催やFIFAワールドカップ・カタール大会といった大型スポーツイベントや11月の米国中間選挙の影響で、広告支出は年間を通して増加すると見込んでいる。
媒体別成長率&シェア予測(全世界)
2022年の日本の広告市場動向は?
2022年の日本の広告市場は、デジタル広告(7.2%)とテレビ広告(3.2%)の引き上げにより3.5%の成長を予測。デジタルは2021年に引き続きeコマースやソーシャル広告、動画広告での増加が見込まれている。動画広告ではスマートフォン向けの広告に加え、テレビデバイスで視聴するオンライン動画を対象とする広告が注目を集め始めていることから、コネクテッドTVの伸長が期待されている。
同予測は、世界59市場から収集したデータに基づき取りまとめたもの。毎年2回更新しており、今回は2021年7月発表予測の更新。2021年は実績の確定で、2022年は予測の改定、2023年と2024年は新規予測。
同発表の詳細はこちらで確認できる。