英オンライン出版協会 (AOP)とデロイトが2月9日、四半期ごとに出されるデジタルパブリッシャー収入指数(Digital Publishers Revenue Index)の最新データを発表した。
半数近くのデジタルメディアが増収、定期購読が要因
2020年第3四半期にプラス収益となったデジタルパブリッシャーは53%と、前四半期(22%)の2倍以上を記録。その理由として、同調査では定期購読(サブスクリプション)収入の大幅な増加を挙げている。定期購読収入は2019年第3四半期から2020年第3四半期にかけて51.3%増と大幅に伸張した。
ただし、2020年第3四半期の総デジタル収益としてみると前年同期比1.1%減という結果に。ディスプレイ広告(3.6%減)やオンライン動画広告(38.5%減)、スポンサーシップ(25%減)などの大きな減少が響いたとみられる。
B2B部門における2020年第3四半期の全体収入は、ディスプレイ広告(15.2%増)と定期購読(5%増)の追い風を受け1170万ポンド(前年同期比4.1%増)に達した。一方、B2Cパブリッシャーの収入は1.6%減となったが、定期購読収入は好調を維持し68.3%の伸びを示した。
広告収入増を戦略的に優先すると考える出版社は約8割
この状況に対し、デジタルパブリッシャーの約8割(78%)が広告の収入増加を戦略的に優先すると考えていることが明らかになった。また、広告以外の増収を優先事項として挙げた出版社も89%と、前年同期(60%)より大幅に増加している。また、効率化推進のためコスト削減を最優先事項だと考える出版社が56%に上ることもわかった。
AOPのマネージング・ディレクターであるリチャード・リーブス(Richard Reeves)氏は「デジタル広告が出版社にとって最大の収入源であることに変わりはない。だが、定期購読収入のプラス成長は業界がより強くより大きな回復力をもって適応してきたことを示している。にも関わらず、今後1年間の戦略的優先事項として、広告収入の伸張に再び焦点が当てられていることは興味深い」と述べている。
英オンライン出版協会(The UK Association of Online Publishers)は、2002年に設立されたオンライン出版の業界団体。独自のリサーチを発表し、フォーラムやアワード、カンファレンスを開催している。
同発表の詳細はAOPのウェブサイトで確認できる。