広告主向け促進ツールやポータルサイトを装備して普及を推進

字幕付きCM、すべての放送枠での受け入れ開始

メディアビジネス編集部

字幕付きCM普及推進協議会は81日、すべての放送枠(ネットタイム枠、ローカルタイム枠、スポット枠)において、字幕付きCMを受け入れることを発表した。

字幕付きCMで企業イメージや内容理解度がアップという調査データも

「字幕付きCM」とは、音声をテキストで画面表示できるCMで、通常はリモコンの「字幕」ボタンで動作する。同協会は、高齢化社会の進展にともなってその社会的意義が高まっていると言及。聴覚障害者や聴力に不安がある人への情報アクセシビリティを確保できることから、字幕付きCMについて広告主にとってESG経営の身近な施策のひとつになっていると述べる。

同協会が3月に実施した字幕付きCMに関する調査によると、「字幕あり」のCMについて、「企業イメージ」「内容理解度」「話題拡散性」において、聴覚障害者では10ポイント以上アップ。健常者や耳が聞こえにくい高齢者でもポイントが上昇していた。

タイム枠に加え10月からスポット枠もスタート

2020年9月に取りまとめられた「字幕付きCM普及推進に向けたロードマップ」では、「字幕付きCMが放送される放送枠を増やすこと」「字幕付きCMを制作する広告主を増やすこと」の2つをテーマに掲げて推進してきたが、最終ステップに移行する方針を決定。10月からスポット枠(番組提供CM以外の、放送局が独自に定めるCM枠)が加わることになった。

全国のタイム枠については、20218月にネットタイム枠(全国のネットワーク系列局で放送される番組提供CM枠)、ローカルタイム枠(各放送局が独自に放送する番組提供CM枠)ともに字幕CMの受け入れが始まっていた。

同協会は6月に、字幕付きCMに関する情報を集めた「字幕付きCM PORTAL WEB SITE」を開設し、上記調査をもとにした普及促進ツールを掲載。また日本民間放送連盟と日本広告業協会は7月に、字幕付きCM素材搬入基準を改訂し、広告主、広告会社、民放事業者それぞれの作業負担を軽減するため、事前確認の提出資料を簡素化していた。

高齢者の耳が遠い人々を含めると、全国に3,000万人ほどの難聴者がいると同協会では想定しているが、民放連によると難聴自覚者(聴覚に何らかの問題を感じている人)の約9割が「字幕付きCMを知らない」との調査結果もあり、認知率向上も今後の課題となりそうだ。放送番組についても字幕付与は一般化しており、総務省の調査では2020年の在京キー5局および在阪準キー局の放送番組における字幕付与率は100%だ(「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」の普及目標となる放送番組における字幕番組の割合)。

「字幕付きCM普及推進協議会」は、一般社団法人日本民間放送連盟(東京都千代田区)、一般社団法人日本広告業協会(東京都中央区)、公益社団法人日本アドバタイザーズ協会(東京都中央区)の3団体で構成。「放送局、広告会社の理解を深める」「広告主を増やす」を課題として普及推進活動を行っている。

同発表の詳細はこちら。「字幕付きCM PORTAL WEB SITE」はこちら

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出版社や新聞社などのメディア事業者、製造業や小売業などのオウンドメディアを運営する企業向けに、総合コンサルティングサービス「MediaDX」の提供、システム構築、メディア運用など、事業立案からグロース・多角化戦略まで幅広く支援している。
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