日本民間放送連盟研究所(東京都千代田区)は7月21日、「テレビの広告効果に関する研究」の第2回調査結果を発表。テレビCMはYouTube動画広告よりも2.1倍認知されやすいという分析を明らかにした。
同調査は、テレビ広告とYouTube動画広告の両方を用いたキャンペーンについて、両者の到達(リーチ)から購買に至る各プロセスでの効果とコスト効率などを測定・比較し、客観性を持ったテレビCMの広告効果を検証したもの。電通とビデオリサーチの協力を得て実施した。
テレビCMは認知や行動意思決定、YouTube広告は検討プロセスに影響
広告がリーチしたと判定された人のうち、実際にその広告を認知していた人の比率(広告認知効率)は、テレビCMが42.9%だったのに対し、YouTube 動画広告は20.1%だった。そして、その広告の商品を購買した人の比率(購買率)は、テレビCMが3.1%、YouTube動画広告は1.7%だった。
テレビCMとYouTube動画広告の両方がリーチした人の場合だと、広告認知効率は48.3%、購買率は5.4%に上昇する。この結果を受けて同調査では、テレビCMとYouTube動画広告の両方がリーチすることで認知率が高まり、行動喚起の相乗効果が期待できると述べている。
同調査は、いずれも広告認知することで行動率は高まるが、広告認知後の行動喚起に違いが出ると言及。「商品カテゴリーの違いや、定番ブランド商品か新商品かの違いなどによって効果性の強弱が見られる」とした上で、以下のようにそれぞれの役割の違いを指摘した。
テレビCM
「認知・興味関心」「行動意思決定」プロセスに寄与。
YouTube動画広告
「情報検索」「比較検討」など検討プロセスに寄与、「SNS投稿」といった情報行動の高さに特徴。
テレビCMのコスト効率はYouTube広告の約4倍という試算も
また、実際のテレビCM(タイムCMとスポットCMが混在)、YouTube動画広告別の出稿金額をもとに、購買プロセスの接触から購買に至る各プロセスでの1人当たりCM単価を試算。「広告リーチ」では、テレビCM2.4円、YouTube動画広告は5.2円。「広告認知」では、テレビCM5.6円、YouTube 動画広告25.8円。「購買」はテレビCM75.8 円、YouTube動画広告308.7円だった。
同調査では「特に商品認知以降のプロセスでは、テレビCMはYouTube 動画広告の4分の1以下の単価水準になっており、コスト効率では4倍以上高い」と評価。テレビCMは YouTube 動画広告に比べて、リーチから購買に至る全プロセスで割安であるとの考えを示した。
同調査は、公益社団法人日本アドバタイザーズ協会テレビ・ラジオメディア委員会を通じて募集した3社の広告主の5つの商品について、2021年11月から2022 年1月の間に、スクリーニング(SC)調査と本調査を2回(11月調査、1月調査)に分けて実施。全国の男女15〜69歳を対象にインターネット調査を行った。サンプル数は以下の通り。
【11月調査】
SC 調査46,221ss
本調査(商品1)400ss、(商品2)400ss、(商品3)400ss
【1月調査】
SC調査46,174ss
本調査(商品4)800ss、(商品5)400ss
同発表の詳細はこちらで確認できる。