インフレを考慮すると2023年は実質マイナス成長の予測

英国広告市場、コロナ禍から回復も成長ペース鈍化へ

メディアビジネス編集部

英国広告協会は126日、2022年の広告市場成長率について8.8%のプラス成長の見込みと発表し、コロナ禍からの回復傾向が継続していることを明らかにした。一方で景気後退などの影響を受け、2023年は成長にブレーキがかかると予測する。

9四半期連続増、ニュースメディアや雑誌はマイナス予測

英国広告協会とWARCがまとめた最新の支出レポートによると、2022年第3四半期の英国の広告費は4.3%増(総額85億ポンド)、9四半期連続のプラス成長になると推計。特に映画(148.1%増)とOOH(屋外広告、13.2%増)の回復が目覚ましく、広告費全体のほぼ40%に相当する。

一方、同時期の全国ニュースメディアは11.2%減、地方ニュースメディアは10.4%減といずれも二桁の大幅な落ち込みを示しており、雑誌に対しても4.2%減と厳しい見通しを示した。

2022年全体では8.8%増見込み、映画広告とOOHがけん引

広告支出にとっての2大イベントであるクリスマスとFIFAワールドカップが開催された「ゴールデンクォーター」(2022年第4四半期)の成長率は4.3%増の見通しで、2022年全体の英国広告費は総額347億ポンド、8.8%増加する見込みだ。

OOHや映画の回復に加え、ブロードキャスト・ビデオ・オン・デマンド(BVOD)は10.5%の二桁成長が期待されている。全国のニュースブランドと雑誌ともに0.6%、地方ニュースブランドは0.4%とそれぞれ微増にとどまる見込み。

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(図)Source: AA/WARC Expenditure Report, January 2023

2023年は成長スピードに陰り、インフレを考慮すると実質減少と予測

2023年の広告費成長率については、3.8%プラス(総額361億ポンド)と予測。ただし、インフレを考慮すると実質3.0%の減少に相当するという。

同レポートでは「2023年の景気後退は避けられないだろう」と言及。高インフレが経済全体やメディアコストに与える圧力により、パンデミックに見舞われた2020年を除けば、2023年の成長率は過去10年間で最も弱い伸びとなり、実質的には減少に転じると予測する。一方で、この低迷は短期間で終わり、2024年の最初の9か月間で広告投資は5%アップする見通しも示した。

「The Advertising Association/WARC quarterly Expenditure Report」は1981年の開始以来、四半期ごとにデータを発表している。同発表の詳細はこちらで確認できる(英語)。

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出版社や新聞社などのメディア事業者、製造業や小売業などのオウンドメディアを運営する企業向けに、総合コンサルティングサービス「MediaDX」の提供、システム構築、メディア運用など、事業立案からグロース・多角化戦略まで幅広く支援している。
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