ジャーナリスト全体では4割が女性も、日本は世界最低水準

世界のニュースブランド、編集トップが女性のメディアは約2割と明らかに

メディアビジネス編集部

世界のニュースブランドのうち、編集トップ職に就く女性の割合は約2割であることが、英オックスフォード大学ロイター研究所が38日に公表した調査結果で明らかになった。

日本の女性編集トップは17%、世界平均を下回る

今回の調査対象となった世界12の国と地域において、240ブランドで編集トップ職に従事する180人のうち、女性は22%だった。ジャーナリスト全体に占める女性の割合は約40%だが、これを大きく下回る。

編集トップ職に占める女性の割合は、マーケットによって大きく異なる。その割合が最も高いのは米国で44%、続いてフィンランドの36%だった。この2か国では、過去1年間に新しく任命された編集長の約半数が女性だという。

日本は17%と世界平均より7ポイント低い。最も低いのはメキシコ(5%)。また、対象の国と地域全てにおいて、編集トップ職の過半数が男性であることは、今回の調査でも変わらなかった。

スクリーンショット 2023-03-10 16.47.47Percentage of women top editors in every market

ジャーナリストの女性割合、日本は世界最低水準

「日本、韓国、米国を中心に、交代が進んでいるマーケットもある」と同調査では述べている。しかし、この3か国はジャーナリストにおける女性の割合が低い国であることが、以下のグラフで示されている。日本は女性ジャーナリストの割合が18%、これは調査対象となった国や地域の中で最も低い数値だ。

ジャーナリズムで働く女性の割合と、編集トップポジションの女性の割合の関係には、グラフが示す通り弱い正の相関が見られるが、これは例年通りの傾向だという。

スクリーンショット 2023-03-10 16.48.39Percentage of women journalists vs. percentage of women top editors

UN GII(ジェンダー不平等指数)で高い男女平等の数値を出していても、その国の編集トップ職に女性が多いことを意味しない」と同調査は指摘。それを裏付けるように、日本のUN GIIは世界191か国中22位だ。また、「編集トップ職において、男女平等を拡大する明確な全体傾向は見出せない」と述べており、「ニュースメディア関係者の中には、少なくともジェンダーに関しては、業界はすでに多様性の点で必要なところに達していると考えている人がいる」ことを理由として挙げている。

Women and leadership in the news media 2023」で対象になった12市場は、日本や韓国、米国のほか、香港、フィンランド、ドイツ、スペイン、イギリス、ケニア、南アフリカ、メキシコ、ブラジル。「Reuter Institute Digital News Report2022」で測定されたオフライン(テレビ、印刷物、ラジオ)およびオンラインのニュースブランドのうち、週間使用率が上位10社のデータを20232月に収集。各ブランドの公式Webサイトやプレスリリースおよび関連報道で、各ブランドの編集トップ職担当者を特定した。

同調査の詳細はこちらで確認できる(英語)。

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出版社や新聞社などのメディア事業者、製造業や小売業などのオウンドメディアを運営する企業向けに、総合コンサルティングサービス「MediaDX」の提供、システム構築、メディア運用など、事業立案からグロース・多角化戦略まで幅広く支援している。
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