一般社団法人パートナーシップ協会(東京都港区)が7月22日、性的な危害を与える可能性のあるジェンダーバイアス、暴力や性犯罪を描写することに関する広告ガイドラインを作成したことを発表した。
過去の実話や実例を元にわかりやすく解説
「ジェンダー平等・多様性 広告ガイドライン」は、海外ですでに公表されている性を扱う広告ガイドラインや男女雇用機会均等法、児童ポルノ法、憲法上の人権(平等権)等の性に関する諸法令などを参考に、弁護士の協力のもと同協会が独自に作成したもので、ガイドラインのサンプルが無料でダウンロードできる。
同ガイドラインは、過去の広告規制法に反映されていない、または適切に反映されていない性の固定概念のカテゴリを対象とし、過去の実話や実例を元にイラスト化してわかりやすく解説している。
ジェンダー平等・多様性のための広告・マーケティングの重要三原則
同ガイドラインでは、広告・マーケティングの重要三原則として以下の3つを挙げている。
犯罪を助長させない
特に、当事者が危害を加える可能性または犯罪を助長する可能性があることを明確に認識 していない無意識に近い状態で表現される場合も多いため、注意が必要。
特定の性を前提としない。特定の性の身体的な特徴・嗜好を前提としない
一般に魅力的である、成功している人である、健康な人であると思われる人物像とこれにひもづくライフスタイルのイメージに、特定の性的な方向性を助長させる表現を用いることはできない。
性は時に人の生死や人生に大きな影響を与えるもの
時として、性の固定概念は、いじめや犯罪を誘発する可能性があるということを強く認識しなければならない。また、他のステレオタイプを使用することで、悪影響を重大化させてしまう可能性がある。
世界の広告業界では基準ができあがりつつある
同協会が性的コンテンツの広告に関するアンケート調査を行ったところ、性の固定概念を助長する広告規制が必要だと感じている人が半数を超えた。性差以上に個人の嗜好・価値観によるところも大きいとした上で、自分自身が不快だと感じたことがなくても、規制が必要だと感じた人の割合が大きいと分析。また、世界最大級の広告祭「カンヌライオンズ2022」ではジェンダー平等の規制ができるなど、世界の広告業界では基準ができあがりつつある一方で、日本では具体的なジェンダー平等の広告基準や規制がないことから、同ガイドラインのサンプル提供を決めたという。
一般社団法人パートナーシップ協会調べ2022年6月実施(n=1169、15~59歳の男女)
一般社団法人パートナーシップ協会は、行動経済学を中心に、データを基にしたジェンダー研修、ジェンダーに関する研修・調査、ガイドラインの制定などジェンダーの平等の実現に向けたサービスの提供を行っている。
同発表の詳細はこちら。「ジェンダー平等・多様性 広告ガイドライン」はこちらからダウンロードできる。