総務省が6月3日、放送コンテンツの海外輸出額および海外販売作品数の調査結果を公表した。2020年度における日本の放送コンテンツの海外輸出額は約571.1億円だった。
商品化権やインターネット配信権が伸びに寄与
2020年度における日本の放送コンテンツの海外輸出額は約571.1億円と、前年度比46.1億円増。右肩上がりの傾向が続いており、この5年間でほぼ2倍に増加した。この成長に大きく貢献しているのが、アニメなどの放送番組のキャラクターを商品化して海外で販売する「商品化権」や、放送番組をインターネットで配信する「インターネット配信権」だ。インターネット配信権には、字幕や吹替など展開先の国・地域にローカライズする権利も一般に含まれる。
権利種別でみると、最も収入規模が大きいのは「商品化権」(220.1億円)。続く「インターネット配信権」(185.9億円)とともに、その割合は3割を超えている。「商品化権」「インターネット配信権」および「番組放送権」(116.0億円)が、放送コンテンツ海外展開の大部分を占めている。
アニメが約9割、輸出先の過半数はアジア
ジャンル別でみると「アニメ」(88.9%、2020年度)がほぼ9割を占めており、これは放送コンテンツの主な輸出先であるアジア、北米、欧州いずれにおいても同じ傾向だ。輸出先は「アジア」(同53.5%)が全体の半数を超えているが、近年は「全世界」向けも増えてきている。主体別の割合でみると、NHKおよび民法キー局(同43.3%)とプロダクション等(同51.1%)の比率がほぼ変わらない状況が続いている。
高い人気を誇るアニメコンテンツだが、「番組販売権」のみの構成比率をみると「ドラマ」の割合は2020年は9.1%と、2019年の7.6%に比べ増加しているというデータも示された。「番組販売権」とは、「番組放送権」「インターネット配信権」「ビデオ・DVD化権」を合わせたもの。
海外販売本数は前年度減、取引形態の影響か
海外販売作品数は3,539本で前年度から減少した。同調査では、動画配信サービスなどに対する多数の作品の一括販売や複数年の提供契約など、取引形態により販売作品数が大きく伸びる場合があるために、増減が発生していると分析している。
「放送コンテンツの海外展開に関する現状分析」は、放送コンテンツの海外展開に関する実態と動向を定量的に把握することを目的に毎年度実施されている。2020年度は292の放送事業者などから回答を得た(地上基盤放送事業者91、衛星放送事業者・CATV事業者164、プロダクション等37)。
同発表の詳細はこちらから確認できる。