NTTドコモ(東京都千代田区)が2022年5月18日、デジタル広告配信サービス「ドコモ広告」において、ユーザーのライフスタイルに関連性が高い広告を配信する機能を提供すると発表した。2022年10月の開始予定に向け、5月19日より「IPアドレスを用いた広告配信に関する同意」の取得を始めた。
cookieのようなWebサイトごとの設定は不要
ユーザーからの事前同意に基づき、契約したドコモの通信回線で各種サイトやアプリを利用した際にドコモが発行するIPアドレスを用いてユーザーを識別し、独自の広告専用IDを生成して広告を提供する仕組み。一度同意・拒否の設定をすると、設定を変更するまでその状態を保持するため、cookieのようにWebサイトごとに設定は不要だ。ユーザーの事前同意に基づき、「プライバシーポリシー」に即した範囲でドコモが取得し保有するデータをもとに興味・関心などを推定するため、第三者が発行して運用するcookieなどを用いて収集されるデータを用いることはない。
ユーザーは「パーソナルデータダッシュボード」でいつでも同機能を用いた広告配信への同意・拒否を変更することが可能。ただし、dアカウントを保有しているdポイントクラブ会員であるなど条件を満たす必要がある。デジタル手続き専用プラン「ahamo」やMVNO回線は対象外。
同機能を用いた広告配信は、「dメニュー」をはじめとしたドコモが提供するメディアのほか、ドコモ以外の事業者が提供するメディアでの広告配信に対応予定。「ドコモ広告」は、dmenuやマイマガジンなどドコモが提供するサイトやアプリに加え、ドコモが提携する外部のサイト・アプリ・サービスなどに掲出されるインターネット広告。
プライバシー保護の厳格化は世界的なトレンドに
プライバシー保護の厳格化は世界的なトレンドで、サードパーティcookieの活用制限はアドテクノロジー業界に影響を与えている。米Verizon Mediaは2020年にCookieを使わない統合IDサービスを発表。Webブラウザでも規制の流れは強く、AppleはSafariでのサードパーティcookieをデフォルトでブロックしており、GoogleはChromeにおけるサードパーティcookieを2023年後半に廃止する。
cookieをアドネットワーク技術に利用させないような規制・ルール作りも進んでおり、EUでは2018年にGDPRが、米で2020年にCCPAが施行された。遅れを取っていた日本だが、4月に改正個人情報保護法が施行され、cookieについて他の情報と容易に照合でき個人を識別できる場合は個人情報に該当するとされた。
同発表の詳細はこちらで確認できる。