総務省がペアレンティングコントロールについて調査を実施

保護者の約3人に1人が子ども向けフィルタリングサービスを利用

メディアビジネス編集部

総務省がインターネットのペアレンタルコントロールについて利用状況を調査し、5月10日に報告書を公表した。有料でもフィルタリングサービスを使いたいという保護者がいる一方、約3人に1人の保護者は子どもが低年齢であってもアプリ・サービスの対象年齢や推奨年齢を確認していない現状が明らかになった。

フィルタリングサービス利用者は子どもの年齢によって偏り

フィルタリングサービスを利用していると答えた保護者は全体の37.8%。年齢別にみると、小学校高学年や中学生の保護者では、解除した人を含めると過半数に利用経験がある。一方で、未就学児や高校生の現利用率は約4人に1人にとどまる(未就学22.4%、高校26.8%)。

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フィルタリングサービス利用状況(年齢別)

解除の個別設定や利用時間の把握などは、子どもの年齢問わず重視

フィルタリングサービス利用にあたり、子どもの年齢を問わず重視する割合が高い項目は、「子どもに使わせたいアプリのフィルタリング解除の個別設定が簡単にできる(全体69.0%)」、「子どものスマートフォン利用時間を把握することができる(同68.1%)」、および「無料で利用できる(同80.4%)」だった。別の調査では、約4人に3人の保護者が「アプリ内課金を保護者に通知する機能」を有益だと考えているというデータも示された。

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支払い意思額が高い機能は、サイトの閲覧履歴やSNSのメッセージ確認

フィルタリングサービス利用について、ひと月当たり最大いくらまで支払えるかを聞いたところ、以下のリスト要素を全て網羅している場合は合計483.3円のニーズがあることがわかった(全体の合計金額)。特に「子どもに使わせたいアプリのフィルタリング解除の個別設定が簡単にできる(79.6)」、「サイトの閲覧履歴を保護者が確認する機能がある」、「SNSでどのようなメッセージをやり取りしているかを確認する機能がある(71.4)」について支払い意思額が高い。金額は全体的に低年齢の子どもを持つ保護者の方が高い傾向にある。

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フィルタリングサービス以外の機能的ペアレンタルコントロール状況についても調査。「アプリの推奨年齢の確認と守らせている状況」について年齢別に見てみると、中学生までは半数以上の保護者が管理していることがわかる。

しかし、未就学や小学生の子どもがいても約3人に1人はアプリ・サービスの対象年齢・推奨年齢を確認していないことが明らかになった。同調査では、アプリの推奨年齢・対象年齢を守らせている場合、トラブルに遭遇しにくい傾向が非常に強いというデータも示されている。

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アプリの推奨年齢の確認と守らせている状況(年齢別)

人気サービスの子ども向けアプリ・サービスや機能の開発に期待を寄せる

この調査結果を受け、総務省は政策的含意として「アプリの推奨年齢・対象年齢を守ることの重要性」や「フィルタリングサービスのカスタマイズ設定方法」などをわかりやすく啓発する必要があると言及。「人気サービスの子ども向けアプリ・サービスの開発や子ども向け機能」、親子で端末を共有する際の「フィルタリングサービスのON・OFFが簡単にできるサービス」などの開発が期待されている。

「我が国における青少年のインターネット利用に係るペアレンタルコントロールに関する調査」は、2022113日~19日の間、調査会社が保有する20歳~69歳の登録モニターのうち、条件に合う青少年保護者6,500人を対象にインターネットにてアンケート調査を実施した。

報告書(概要版)はこちらからダウンロードできる。

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出版社や新聞社などのメディア事業者、製造業や小売業などのオウンドメディアを運営する企業向けに、総合コンサルティングサービス「MediaDX」の提供、システム構築、メディア運用など、事業立案からグロース・多角化戦略まで幅広く支援している。
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