言語モデルChatGPTについて、出版社などのパブリッシャーが知っておくべきことや出版ビジネスへの影響についてChatGPT自身が説明した記事が、1月4日付の「What’s new in Publishing」に掲載された。人間のライターの必要性を低減できる可能性などを伝えている。
ChatGPTが生成した文章のスクリーンショット
コスト削減に貢献できるが、影響はその使われ方次第
ChatGPTは自身の最大の特徴は、「人間が書いたテキストとほとんど見分けがつかないような、一貫性のある流暢なテキストを生成することができる」点だと述べる。
コンテンツ作成プロセスを自動化できるため、出版社などパブリッシャーのコスト削減とともに、人間のライターが解雇される結果になる可能性を示唆。事業者側は自社の従業員に対する潜在的な影響を考慮し、従業員を公平に扱うための措置を講じることが重要だと述べている。
一方で、「言語生成モデルは、一貫性のあるテキストを生成することができ、特定の作家のスタイルを模倣することもできるかもしれないが、人間の作家と同じように、本当にオリジナルのコンテンツを作成することができるわけではない」ため、人間のライターの仕事を完全に代替できるわけではないという。
パブリッシャーは、自動コンテンツ生成に過度に依存すると、コンテンツの多様性や独創性が低下し、人間のコミュニケーションの複雑さとニュアンスを完全に捉えられない可能性があることにも注意する必要がある。「重要なのは、ChatGPTは単なるツールであり、出版業界への影響はその使われ方次第だ」。
事業者は倫理的・法的意義を慎重に検討すべき、NYC教育局は生徒のアクセス禁止を発表
また、誤報の拡散やフェイクニュースの作成に利用される可能性を懸念しており、出版社は倫理的・法的意義を慎重に検討し、モデルによって生成されたコンテンツが正確かつ適切で、自社の編集基準やガイドラインに沿ったものであることを確認することが重要だとも伝えている。
ニューヨーク市教育局は、「生徒の学習への悪影響と、コンテンツの安全性・正確性に対する懸念」を理由に、生徒や教師に対し学習端末やネットワークからのChatGPTへのアクセスを禁止した。
ChatGPTとは
ChatGPTは、米OpenAIが開発した、人間に近いテキストをリアルタイムに生成するための自然言語処理(NLP)モデル。2022年11月の公開後、コンテンツ生成やチャットボットなど様々な用途で利用されており、世界中のメディアやテック業界からも大きな反響を呼んでいる。OpenAIはAI研究の非営利団体で、イーロン・マスクが共同創業者のひとりとして名を連ねており、画像生成AIツール「DALL-E2」などを発表して注目されている。
同記事はこちらから確認できる(英語)。