米のメディアコンサルティング会社PQ Mediaが1月12日に「Global Consumer Media Usage Forecast 2021-2025」を発表、レポートの概要を公表した。全世界の消費者のメディア平均利用時間は2020年に15年ぶりの急上昇を遂げたが、2021年の成長率は1.6%と鈍化したことがわかった。
日本は東京オリンピックの影響で利用率が上昇
同調査によると、2021年におけるすべてのデジタルおよび従来のメディアチャネルを含む、世界の消費者の年間メディア利用時間は平均54.4時間(HPW)。成長率は1.6%と、2020年(3.1%)に比べ減速した。
この理由について、多くの国がCOVID-19 への規制を緩和した結果、企業の再開や新規雇用が可能になったことや、学生の登校が再開したことなどを挙げる。20大メディア市場の中では、日本は2021年に最高利用率(85.5HPW)、最高成長率(5.9%)を記録した。デルタ変種の影響により延期された東京オリンピックが直接観戦できなかったことを要因として挙げている。
2022年のメディア消費は、大型スポーツイベントや選挙に牽引され、2.5%プラスの加速率を予想している。
大ヒット作が少なくても加速するデジタルシフト
世界的なパンデミックによりデジタルメディア消費へのシフトが加速した。同レポートでは、2021年には全体の約3分の1(33.4%)を占めると推測。ほとんどの先進国では40%を超えており、2022年には韓国が、最初に全人口のデジタルメディア利用率が平均50%を超える市場となると予想する。
デジタルメディアの主な成長要因は、モバイルビデオ、OTTストリーミングビデオサービス、オーディオ・ストリーミングサービスおよびポッドキャスティング、デジタルブック、デジタル屋外(OOH)メディア、ビデオゲーム(コンソールおよびデジタル)だ。
同レポートは「多くのメディアは、大ヒット作が続くと消費者の利用が増えるヒット・ドリブン型だ。だが、2020年のメディア・プラットフォームは、大ヒット作が少ないにもかかわらず過去最高の消費を記録している」と述べている。
一方で、従来のメディア消費は、2021年は前年比1.4%減と5年連続での減少が予測されている。例えば、映画館の入場者数は2021年に2倍以上に増えたものの、DVDの売上が激減したため、従来の映画産業全体では利用が減少した。
メディア消費は飽和状態、今後は解約などに直面すると予測
PQ Media CEOのパトリック・クィン(Patrick Quinn)氏は、「メディア消費は飽和状態に達している」と考えている。ケーブルTVや印刷媒体の購読など様々な従来型メディア利用は減少を続けている。
また、スマートフォンの普及は世界の主要市場で、飽和状態かそれに近い状態にあり、いくつかのインターネットやモバイルメディアのチャンネルは年間成長率が鈍化することを踏まえ、「現在2桁の成長率を示しているメディアチャネルも、今後数年間は減速に直面することになり、特に動画ストリーミングサービスは、初めて解約に直面することになる」と分析している。
同レポートの詳細はこちらで確認できる(英語)。