世界のインフレ率を下回る見通し

世界の広告費成長率、2023年予測値を5.9%に下方修正

メディアビジネス編集部

英国に本拠地を置く世界最大の広告代理店グループWPPグループ傘下のメディアエージェンシー「GroupM」は125日、2023年の世界の広告費について5.9%増と発表。6月の予想(6.4%)から下方修正され、IMFが予想する世界のインフレ率(6.5%)を下回る見通しであることが明らかになった。日本の広告費は成長スピードが減速するものの、2023年は4.4%のプラス成長を見込んでいる。

中国に対するマイナス成長予測が、下方修正の要因

同社が発表したリポート「This year next year: Grobal 2022-end-of-year-forecast」によると、2022年の世界の広告成長率は6.5%で、6月発表の予想(8.4%増)を下回る見込みだ。同調査はこの要因について、中国への期待値の低下を挙げる。中国を除いた2022年の世界の広告費の成長予想値8.1%だが、中国は3.3%増から0.6%減とマイナス成長を記録する見通しだという。

2023年も世界の広告費はプラス成長を継続、その理由は「継続的な成長への期待」

2023年の世界の広告費について、プラス成長(5.9%増)という楽観的な見方をしている理由について、以下の要素を挙げている。

・大幅な減収は、一部の市場の一部のチャンネルに限られている。

・大手の広告主は警戒感を示しているにもかかわらず、実際の収益は増加している。

・失業率は依然低く、新規事業の創出が成長の源泉となっている。

・デジタルメディアの継続的な成長。

また、コネクテッドTVやリテールメディア、インドなどの急成長市場で大きな伸びが見込まれるという。今後については、ウクライナ戦争の激化や世界的な大災害がない限り、2024年に6.2%増に上昇したのち、2027年までは一桁台半ばの減速した成長トレンドに戻ると予測する。

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メディアごとの主なトレンドは以下の通り。

・デジタル広告

2022年は9.3%のプラス成長。デジタル広告のシェアは業界全体の67%を占めており、その割合は2027年には73%に達する見込み。

・オーディオ広告

2022年、2023年ともに2桁の成長予想。デジタルオーディオが、オーディオ広告収入全体の4分の1近くを占めるようになる。

・テレビ広告

1.7%の伸びを予想。ただし2025年には「すべての有料テレビ事業者を合わせても、米国家庭の半数以下にしか届かなくなる」という。

OOH広告

世界全体では2.2%の成長予測だが、中国を除くと18.1%。ロックダウンやゼロコロナ政策に直面するまで、中国は過去6年間最大の市場だった。

・印刷広告

2022年は7.6%減。印刷メディア自体が3.7%減少する見込みで、今後5年間は減りつづけ、収益は2027年にOOHとほぼ同等になると予想。

日本の広告費、伸び率は鈍化し2023年は4.4

日本の広告費について、2022年は7%のプラス成長が見込まれているが、2023年の成長率は4.4%に低下すると予想さている。成長をけん引するのは「純デジタル広告(pure-play digital advertising)」で2022年は最大のシェア(57.9%)を占めており、今後も成長が期待されている。次にシェア率が高いのは「テレビ広告」で27.9%。パンデミック後のコネクテッドTVの力強い2桁成長に牽引され1.6%増との見込みを示している。

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出版社や新聞社などのメディア事業者、製造業や小売業などのオウンドメディアを運営する企業向けに、総合コンサルティングサービス「MediaDX」の提供、システム構築、メディア運用など、事業立案からグロース・多角化戦略まで幅広く支援している。
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